第3回 女性バス運転手の会 Report レポート第3回 女性バス運転手の会 Report レポート

2022年6月15日(水)にシャルマンシーナ東京(表参道)にて、現役バス運転手の女性・バス運転手を目指す女性が参加できる交流イベント『第3回 女性バス運転手の会』を開催致しました。
当日は、全国から総勢46名の女性にご参加頂き、女性バス運転手のあるべき姿やこれからの女性の働き方など、意見・交流を図るイベントとなりました。
この場を借りて、ご来場頂きました方々、またご協力頂きました方々に、深く感謝申し上げます。

第3回 女性バス運転手の会

開催概要

日 時
2022年6月15日(水) 13:30~16:30
場 所
シャルマンシーナ東京 B1F ノヴェルクリスタル(各線「表参道」駅より徒歩3分)
参加費
無料
参加者
①現役バス運転手の女性 ②バス運転手を目指す女性
内 容
13:00
受付開始
13:30
一般社団法人女性バス運転手協会 代表理事 中嶋 美恵 挨拶
国土交通省自動車局 旅客課 バス事業活性化調整官(総括) 北川 由佳 様 ご挨拶
13:40
ステージトークライブ「令和に輝く!女性バス運転手の未来」
14:10
記念写真撮影
14:25
休憩
14:35
テーマ別座談会① 叶えたい夢がある!バス運転手の魅力発見
15:05
テーマ別座談会② 私生活だって頑張りたい!仕事とプライベートの両立
15:35
テーマ別座談会③ 広げよう、女性の輪!女性バス運転手を増やすために
16:05
休憩
16:10
アンケート記入
16:20
一般社団法人女性バス運転手協会 代表理事 中嶋 美恵 挨拶
一般社団法人東京バス協会 代表理事 濱 勝俊 様 ご挨拶

参加者の概要

開催コンテンツ① ステージトークライブ

令和に輝く!女性バス運転手の未来令和に輝く!女性バス運転手の未来

「令和に輝く!女性バス運転手の未来」をテーマに、バス業界で活躍する女性たちにご登壇頂き、女性バス運転手が活躍する未来の実現に向けて、それぞれの想いを語って頂きました。今回ご登壇頂いたのは、女性バス運転手、女性人事責任者、女性バス運転手協会代表理事という、今のバス業界を支える3つの立場の女性たちです。

ご登壇者紹介

女性バス運転手

神奈川中央交通東株式会社

バス運転手 山本さん

関越交通株式会社

バス運転手 小林さん

女性人事責任者

神奈川中央交通東株式会社

人事部長 さん

女性バス運転手協会

一般社団法人女性バス運転手協会

代表理事 中嶋

それでは、皆様から簡単に自己紹介をお願いします。

関越交通渋川営業所の小林と申します。群馬県渋川市・前橋市・高崎市の一般路線を担当しております。2015年の5月に入社し、ちょうど7年勤務しております。本日は宜しくお願いします。
神奈川中央交通東株式会社の厚木北営業所から参りました山本と申します。担当しておりますのは、神奈川県厚木市の路線バスです。本日は宜しくお願い致します。
皆さんこんにちは。神奈川中央交通人事部の星でございます。本日は宜しくお願い致します。
一般社団法人女性バス運転手協会代表理事の中嶋でございます。業界全体の女性バス運転手の状況などお伝えできればと思います。本日は宜しくお願い致します。

運転手のお二人にお聞きします。
バス運転手になりたいと思ったきっかけを教えて頂けますか。

元々18歳で既に運転免許を取りまして、毎日のように走るほど運転自体が好きでした。就職を考えたときにバス運転手に対する憧れというものはあったんですが、運転を仕事として選ぶことはなく、事務職として勤務していたんですが、やりたいこととは違うなという思いを抱えていました。そんな中、路線バスを運転する女性運転手の姿を見つけ、それがきっかけでバス運転手になることを目指しました。
私は、幼い頃から大きな車を運転することに憧れがありまして、自分も運転してみたいと思ったのがきっかけなのと、私の父が大型二種免許を持っていまして、運転の仕事ばかりしていたので、その影響もあると思います。多くのお客様を乗せて運転するバスの運転手は、トラックやタクシーよりもかっこいい仕事だと感じました。

ありがとうございます。
お二人が働くこの業界は決して女性が多い職場ではありませんが、
困っていることや会社への要望などはありますか?

夏は暑く冬は寒かったり、冬用のタイヤチェーンがすごく重かったり、力の弱い女性にとっては大変な業務も中にはあります。ですが、会社も女性に配慮をしてくれますし、営業所の中には女性専用の休憩室があるので、快適に過ごしています。
弊社は18営業所あり、中には古い営業所もありますが、建て替えが進んでいます。新しい営業所には女性向け設備もしっかり用意されています。元々は古い営業所は男性運転手しか在籍していなかったのですが、女性向け設備や制服のある営業所も増えてきています。

それでは、人事部長の立場から、女性の働く環境改善についての取り組みを
教えて頂けますでしょうか。

当社には今、女性ドライバーが53名おりますが、ドライバー全体では3,500名おりますので、社内の女性バス運転手比率は1.6%程になります。山本さんもおっしゃっていましたが、女性運転手の新規就労や定着を促すために、営業所の建て替えを行い、休憩室などの女性向け設備を刷新しております。男性の目を気にしなくて良いように、女性用休憩室の中にお風呂場やトイレを備えています。あとは男性運転手も含めた話にはなりますが、長時間労働の是正になお一層取り組んでいかなければと考えております。

今、勤務時間についてのお話が出ましたので、女性バス運転手協会の代表理事にお伺いします。
女性に特化した勤務時間というものはあるんでしょうか。

ありますけれども、まだまだ少ないです。例えば朝だけ・夕方だけといった時短勤務というのは、ご家庭をお持ちの女性にとっては働きやすい制度と言えます。小さなお子様をお持ちの方でも、朝夕どちらかだけで勤務ができれば働きやすくなります。バス会社さんの中には、1営業所で試験的に時短勤務を導入されている会社さんも沢山出てきていると思いますので、今後広がっていく兆しは感じております。

ありがとうございます。
では、「今後」というワードに関連して、運転手さんお二人の今後の夢と女性バス運転手を
増やすために必要だと思うことについて教えてください。

社会を支える一員として、利用者様の生活の役に立てるように、少しでも長く現役を続けていくことが夢でもあり目標でもあります。同時に、後に続く女性達が前へ、先へ、上へと進みやすい様な道を作っていけたらと思っています。自身で運転することが好きですが、これから20年30年と勤務していけば、後輩指導にも進んでいきたいです。今も班長をやらせて頂いていますので、班員一人ひとりに合わせて教え方を日々考えています。
女性バス運転手を増やすためには、勤務形態の多様化=働き方を選べることが重要だと思います。若い女性が生活環境の変化(結婚、出産、育児等)が不安で入社を諦めてしまうことが無いような制度、設備(社内託児所等)を整えて欲しいです。また家庭の事情等で一度退職したが復職しようとする際の入社試験を一部免除する等、現役運転士にも生活環境の変化はあるので、同じ様に働き方を選べるようにして退職者を減らせる様にして頂きたいと思います。
入社から現在まで一般路線バスのみに乗務し、接客面で、感じの良い話し方や心遣い、あとは揺れが少ない運転を心がけていますが、いずれは高速バスや貸切バスも乗務出来るようスキルを磨いていきたいと思います。 女性バス運転手が増えるためには、1つ目に女性用の休憩室や設備などを充実させること、2つ目に不規則な仕事なので、ご家庭のある方向けの配慮となる制度が必要だと思います。

最後となりますが、これからバス運転手を目指す方に向けて、
お一人ずつメッセージを頂けますでしょうか。

女性運転士は圧倒的少数ですし、決して楽とは言えない仕事ですが、反面、やりがいのある仕事だと思っています。時に不安になったり、つらい思いをしたりすることもありますが、離れた場所、他社にいても思いを共感でき、誇りを持って頑張っている仲間がいることは大変心強いことです。小さな蟻でも集まれば大きな象を動かせると信じています。女性運転士にとって、働きやすい環境を作れるように頑張っていきましょう。どんなベテランと言われる先輩達にも不安な思いで最初の一歩を踏み出した日があります。悩んでいるなら、先ずは一歩を踏み出してみませんか?一緒に頑張っていく仲間になってくれる日を心待ちにしています。
まだまだ女性が本当に少ない業界で、圧倒されることもあるかもしれませんが、それに負けず一緒に活躍できる仲間になってくれると嬉しいです。今はまだお客様が女性運転手のバスに乗れることが少ないこともあり、嬉しいお言葉を頂くこともあるので、それが励みになります。チャレンジしたい方がいましたら、応援しています。
バスを運転することは簡単なことではありませんが、人々の暮らしに密着し、お客様を安全・安心に目的地まで運ぶという交通インフラの仕事に、大きなやりがいを感じて頂けるでしょう。事故への不安や心配をされる方もいらっしゃると思いますが、バス会社各社が事故防止に知恵を絞り対応していますので、是非興味を持ってチャレンジしてください。昨年、当社では18人目の運転士の黄綬褒章受賞者を輩出することができました。現役の皆様には将来の受賞を目指し、業務に精励していただければと思っています。
この協会を設立した際に、「女性でもバス運転手になれるんですか」、「どこのバス会社が雇ってくれますか」というお問い合わせを多く頂きました。この5年間で当協会も微力ながらバス事業者様を支援させて頂き、女性を積極的に採用してくれるバス会社様が増えています。そういった会社が皆さんを待っています。人口の半分は女性です。海外では、バス運転手の男女比率が5対5という国も珍しくありません。日本の女性バス運転手比率もグーンと引き上げ、女性が活躍できる業界になるよう皆様のお手伝いをさせて頂きたいと思います。

皆様、本日は誠にありがとうございました。

開催コンテンツ② テーマ別座談会

令和に輝く!女性バス運転手の未来

〜 テーマ別の参加者のご意見の一例 〜

叶えたい夢がある バス運転手の魅力発見
  • バスの運転は運転職の最高峰だと思う。お客様を乗せて運転できること自体が魅力。
  • 「女性で良かった」「あなたで良かった」とお客様に喜んでもらえる。
  • 上手な運転を出来た時に、バスを外から見ている人の驚いたような表情が嬉しい。
  • 男性と同じ仕事ができる。
私生活だって頑張りたい! 仕事とプライベートの両立
  • 「思っていたよりも休める」という人と「やっぱり時間がない」という人がまちまち。
  • 休みは会社やバス形態によって様々なので、自分のライフスタイルに合った働き方を選択すれば、仕事とプライベートの両立は可能。
  • 出勤の日はお店の開いている時間に退勤できるとも限らないし、通院するのも大変。
  • 夫婦での役割分担が大切だと感じる。職場だけではなく、家族の理解が不可欠である。
  • あえて中休が長いシフトを選び、私用を済ませるなど、時間の使い方が上手くなった。
広げよう、女性の輪! 女性バス運転手を増やすために
  • 業界全体で女性バス運転手を増やしていく雰囲気づくりをしたい。
  • 世間の「バス運転手の仕事」に対する認識が低いので、もっと身近な仕事だということをPRしたい。
  • 若い世代が働きやすいように、託児所や産休・育休取得~復帰までの明確なプランが欲しい。
  • 時短勤務や女性向け設備の導入に併せて、男性ドライバーからの理解が必要。

参加者の感想

20代女性(東京都)
自分の会社は女性が少ないので、同じ男性社会の中で働いている同志と出会い、色々な話をすることができ、働く中での不安が和らいだ。
20代女性(千葉県)
大型2種、運転手経験がなく参加していいのか不安でしたが、皆さん優しく話しかけてくださり、アドバイスもして頂いたので、凄く有意義な時間を過ごすことができました。
20代女性(埼玉県)
現状に満足せずに、職場環境をよりよくしていくための積極的な意見交換にも繋がったように感じました。

一般社団法人女性バス運転手協会より

今回の「女性バス運転手の会」は、2019年の開催以来、約3年ぶりということもあり、全国から多くの方にご参加頂きました。ご来場頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。
本イベントで頂戴した貴重なご意見やご要望は、今後の当協会の活動に活かし、女性バス運転手がさらに活躍できるよう、事務局一同努めて参ります。

「女性バス運転手の会」は、毎年3月に開催致します。女性同士で頼れる仲間を見つけたい方は、ぜひ次回のイベントにご参加ください。開催に関する情報は、当協会ホームページにてご案内致します。

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